事務局コラム

『コロナストレス』だいじょうぶですか?
― 第1回 ―   2020.4.19
― 第2回 ―   2020.5.09
― 第3回 ―   2020.5. 29


『コロナストレス』だいじょうぶですか? ― 第1回 ―   2020.4.19

 みなさまこんにちは。保育と虐待対応事例研究会の事務局長の由井和子です。
 コロナ感染症が拡大する中、社会的な弱者を預かる施設である保育園は、さぞかし大変なことになっていることが想像でき、心配を募らせております。
 保育園関係者への感染の報告もされ、拡大防止策としての登園の自粛や休園の要請も出されております。

 当研究会はこのような状況下、まずは保育士が感染しないための「3密」を考え、2月からの活動を休止しております。
 何より残念だったのは、6月の公開講座を断念したことです。基調講演をお願いしていた国連子どもの権利委員会委員で弁護士の大谷美紀子先生からは、「今後もお役に立てることがあれば」という温かい言葉をいただき、落胆していた私達の目の前がとても明るくなりました。
 でもこのときにかけてくださった大谷先生の「お役に立てるようなことがあれば」・・・・なんて素敵な言葉でしょうか。

 今、保育園は、心配な養育環境の家庭の子の受け入れにはどういう対応をしているのだろうか?
 テレビでは、もともと潜在していたDVがさらに悪化している状況や、ストレス生活が続く中で些細なことに火が付きDVに発展してしまうケースの実態が報道され、その中に子どもが巻き込まれてはいないだろうか?その子が保育園に通っていたとしたら、園長や保育士は子どもや保護者のヘルプを気づいてあげられているだろうか?

 安全な生活が脅かされ、唯一の安心できる生活の場が保育園であるという子どもや、保護者の存在があることを忘れず、普段より一層高いアンテナを張り巡らせた対応が必要ですね。

 そうです!「何かお役に立てることがありましたら」のお言葉から学ぶことは、こういう時にこそ保育園は、心配な保護者には
・何か困っていることありませんか?
・だいじょうぶですか?
「お役に立てる」ひと声なのではないでしょうか。

 虐待研のホームページを利用して、保育園で頑張っている皆さんに心からの応援メッセージを送れたらと思いました。
 時々、掲載していけたらと思います。

『コロナストレス』だいじょうぶですか? ― 第2回 ―   2020.5. 9

 みなさまこんにちは。保育と虐待対応事例研究会の事務局長の由井和子です。
 コロナの終息が見えない中、心をよぎるのは『子ども』や『保育園』のことです。
 今保育園はどうしているんでしょう・・・と、心配しかできませんが、虐待対応事例研究会には、現場で頑張っている会員の声が届いております。
 少し、ご紹介いたしますね。
≪4月 新年度開始の頃≫  P区保育園 A園長より
* 登園の自粛要請がだされました。進級した子どもたちの中で、心配な家庭については、家庭での養育の状況を聞こうと思い、保護者に連絡を入れて、声をかけています。
* 4月に入園してきたけれど、1日も登園をしていない家庭は「お子様」も「保護者」も全く状況が見えませんでした。 園長が「何か心配なことはありませんか?」と連絡を入れたところ、とめどもなく質問が出てきて、何年も前から在園している保護者と話をしているようでした。
 単に休んでいるだけではなく、外に出られないということは、精神的な負担感が相当大きいことを感じました。
 こんな時こそ、気持ちの上ですが、人とのつながりを大切にしていきたいと思いました。
≪5月 卒園した新1年生も含めて心配は尽きません…≫ Z区保育園 B園長より
 今年4月に異動になり、新たな保育園での任務に就いた園長先生です。
* 前園で卒園した新1年生、養育が困難な状況で見守りがこの先も必要な状態で卒園しました。入学式の後、いまだに1学期がスタートできず、家庭でどのように過ごしているのだろうかと、心配は尽きません・・・・。
* 医療従事者の保護者も含め、感染症対策に細心の配慮をしながらの対応をしています。
* 支援が必要な家庭は、子ども家庭支援センターからも自粛中の家庭の聞き取りをしてもらい、連携して見守りをしています。
* 家庭への自粛要請が続く中、家庭を孤立させないための保育園の役割を果たしたい。
* 感染予防の徹底に集中した4月でした。登園児数も1/5位です。楽しい行事も中止、本来の保育園の姿が遠い昔のような気がします。
 しかし、園長として保育園の雰囲気を下げないよう緊張感を持ちながらも楽しい毎日となるよう頑張ります。  実際の保育園の様子は見えなくても、先生方の心情はひしひしと伝わってきて、さぞや重責に押しつぶされそうになりながらの日々が続いているのだろうと思います。
 今回のコロナ感染症のように、初めての危機管理の対応に出会うことはあるのですが、
・被虐待児も含めた保護者に生じた困難な事例が発生したこと、対応した事例
・さらに現状の感染症の事態が悪化した時には、こんな不安が出てくる
など、皆様と再会できるようになりましたら、現場で起きていることをぜひ共有していきたいと思っております。
    『一人で頑張らない。みんなで考える。みんなで支える。』

『コロナストレス』だいじょうぶですか? ― 第3回 ―   2020.5. 29

 みなさま、お元気ですか。保育と虐待対応事例研究会の事務局長の由井和子です。
 コロナ緊急事態宣言が解除されましたが、油断できない状況は続いております。
 6月も保育園の自粛要請が続く中、「仕事に復帰できない」「もうこれ以上、子どもと一緒の生活は限界」等、家庭での養育はストレスフルであり、一刻も早い本来の保育園としての機能の『復活』を願うばかりです。
 また、『ソーシャルディスタンス』という新しい生活スタイルの提唱は、保育園の生活にあてはめられるのでしょうか。
情緒の安定の基礎となる愛着関係をはぐくむために、温かいスキンシップは、必要不可欠な営みであるということを、保育関係者はだれもが思ったことなのではないでしょうか。
 感染症と共存していくこと考えると、今後の大きな難題ですが、「保育園には、できないことはできない。」と声を上げる事も大事です!という声も寄せられました。
今回も、現場で奮闘する保育士からの声をお届けします。

  休園中の家庭に、子どもの様子の聞き取りをしました・・・  W区保育園 P園長より
  ・子どもが初めて立ちました、と喜びの報告が聞けました。
  ・運動不足、テレビに子守をさせている、栄養バランス、生活リズムの乱れ等が心配
  ・慣れ保育が振り出しに戻ること、夜泣きはしないか、発熱時にこれ以上仕事休めない不安の声

 まさに、容易に想像できる家庭での生活、保護者の不安も手に取るようにわかりますね。こんな時の保育園からの電話は保護者への安心につながり、絆が強まったことと思います。

  イライラの怒鳴り声が児童相談所に通報された・・・    Y区保育園 B園長より
  保護者はこんなに長い時間を子どもと一緒に過ごすことが続くのは初めての経験だろうということや、自粛での閉そく感がストレスになり子どもに向かうことなど、親も子どももどちらも理解し、守ってあげることが保育園のこれからの役割であることを感じた。

 また、いつもならこの時期は新年度第1回目の保護者会の真っ最中の時だと思いますが、開催が出来ない状況下、工夫した取り組みも報告されました。
* 保護者会に代わるお便りやクラス便りと共に、職員が子どもの成長の願いを込めて、折り紙でカブトを折り一緒に送りました。その思いに保護者から感謝の言葉をいただき、保育園と家庭がつながっていることの素晴らしさを実感しました。    C区保育園 F園長より

 その他、職員会もままならぬ中で、作成した年間計画を職員間で共有するための工夫や提案など、園長としての統率力を感じた報告など、次号に掲載させていただきます。

「事例から学ぶ」ことは、虐待対応だけに限らず、今回の新たな課題でも一人ひとりの手探りの対応を共有することは、その中にたくさんの学びがあることを感じました。

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